さくらんぼの育て方(暖地でも育てる方法も)
☆さくらんぼの実がつかない?
・ひとことまとめ
一本では実がつかないので、二本植えます。
春になったら咲くさくら。
でも他の種類の桜が近くに植わってると、虫たちが花粉を運んで実を付けます。
食べるさくらんぼの木は、実が美味しく出来るために改良された品種です。
佐藤錦が有名ですね。
さくらんぼの木も、ほとんど自分では実をつけないのです。
しかも、遺伝子の型(S遺伝子)が同じものの花粉では実がなりません。
また、暖地桜桃のように3月の早い時期に花が咲く品種は4月の他のさくらんぼと花粉の時期が合いません。花を咲かせる時期は微妙に違うので、実のなる時期の速さの早生、中手、晩生の3種類を全部栽培しておくとベストです。
例外として暖地桜桃、イギリスのステラ、アメリカンチェリーのスタークリムソンは自分で実をつけます。
他に、自分で500円玉サイズの実をつけるさおり(S遺伝子型はS1S4)、紅きらり(S1S4')がありますが、確率は少なくて(紅きらりで15.5~33%、さおりは9.8~22.4%)家庭では一本ではあまりならないと思っていていいと思います。
紅きらりはS1S4'という特殊な遺伝子で、他の木の受粉用としていい品種です。開花時期から、さおりとの相性はいいです。
☆暖地でも育つ?
・ひとことまとめ
暖地桜桃は育つが、黒っぽくなるまで完熟させないと酸っぱい。
ステラや香香錦など、品種を選べば育てられない事はないし、沢山実がつく。
さくらんぼは、ヨーロッパの山地の寒い所が減産の品種が多く、病虫害にかなり弱いです。
暖かい所では花芽が付かず、ちらほらしか実が出来ない事もあります。
でも、品種を選べば、暖地でも花芽を沢山つけるものもあります。
梅雨になると、雨を吸って実が割れたりカビが生えるなどいい事が無いので、早く実がなる(早生 わせ)品種がいいです。
また、花が咲く時期が合わないと受粉出来ないので、早生→普通→晩生の3つの品種があるとベストです。
また、少し遅めに実がなる(晩生 おくて)品種ですが、イギリスの「ステラ」も育てやすいです。
育て方のコツですが、まずは肥料を控えめにする事です。
庭植えは2月と10月に、鉢植えは2月、5月、10月に、有機質肥料か速効性化成肥料を施しますが、チッソは少な目でリン酸が主体のもの(米ぬかなど)を選びます。
アルミホイル(反射マルチ)を根元を覆うようにかけて、カッターで水が入る裂け目を入れると、さくらんぼの糖度、重さ、着色がアップし、ポリフェノールのアントシアニンも増えます。
植物調節剤バウンティフロアブル2,000倍の散布を5月に行うと、次の年の花芽が増えます。
・おすすめの品種
暖地でも実がなりやすい品種と、S遺伝子の型は次の通りです
香夏錦(S4S6) 早く開花する早生で、梅雨前に収穫できる。暖地でも沢山花が咲く。
やわらかくて甘くて美味しい。
紅さとう(S3S6) 暖地でも沢山花が咲く。開花時期は真ん中で、とても育てやすい。佐藤錦より少し酸味がある。
高砂(S1S6) 早生。糖度は普通であっさりしている。受粉用の花を咲かせるために植えられる。
接ぎ木の時にワイ性の台木を使っていると、背の高さが低くて管理しやすいです。
ステラ(S3S4) 皮が固くて味はそれなりだが、育てやすい。開花は後半中期で花粉が他の木の受粉に使える。
http://www.la-fruta.jp/fs/sanyonursery/c/sutera
スタークリムソン すごく早く開花する極早生で育てやすい。おいしさは普通。
http://www.la-fruta.jp/fs/sanyonursery/c/starclimson
https://shop.takii.co.jp/CGI/shop/search/detail.cgi?mode=back&rcd=2
幸福錦(S3S9)(酸っぱいが、完熟すると濃厚でおいしい中国の品種)
https://shop.takii.co.jp/CGI/shop/search/detail.cgi?item_code=NKZ139&promotion_no=&plan_seq=00001803&prev=enable
また、ナポレオン(S3S4)は暖かさには弱いですが、そこそこ丈夫です。
例外として、「暖地桜桃」は暖かい所でもよく育ちます。
病気にも虫にも強い。
でも、黒っぽくなるほど完熟しないと少し酸っぱいです。
暖地桜桃には「はるか」「阿波乙女」という品種の中でも選抜された、糖度が高いものがありますが、最近売られていません。
秋にはホウ素肥料をまくと、細根が出て花芽が付きやすいです。
☆剪定~受粉
本当は剪定すると良いが、難易度は高いのでなるべく切らない。
実がなり過ぎると育ちが悪くなるので、グループに3つ残して摘み取る。
綿棒や毛ばたきで、別の木の花粉を受粉させる。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざがあり、さくらは根や葉を切ると病気になりやすいです。
切り口にトップジンMペーストなどの殺菌剤を塗るといいですが、慣れないうちは、極力切らない方がいいでしょう。
暖地桜桃は無剪定でも問題ありません。
なるべく横に伸ばして行くイメージです。
こちらのページが詳しいので、参考にしてみて下さい。
・夏季剪定(5月下旬~6月下旬)
収穫後、伸びすぎた枝の剪定を中心に行います。
8〜9月にも必要に応じて剪定するとコン
パクトな樹形が維持できます。
今年出た新しい枝の先端2,3葉分を切ります。
また、新しく出た枝が多い場合は元から切り取ります。
・冬季剪定(12月下旬〜1月中旬)
樹勢に応じた剪定をし、花芽の維持確保に努めます。
長い新しい枝の先端を切ります。
下向きに出ている、弱弱しい枝は切ります。
込み合った枝は、元から切ります。
・摘果(4月下旬。実の摘み取り)
青い実が一か所にまとまってつきますが、一つのまとまりに大きいものを3つ残して残りを摘み取ります。
・受粉
別のさくらんぼの木の花粉を、100円ショップやドラッグストアの綿棒や毛ばたきでつけて、受粉させたい木のめしべにこすりつけます。
☆病虫害
・ひとことまとめ
どうしても、農薬が必要になるので、なるべく有機認証されているものを使う。
1.ウメシロカイガラムシ
幼虫は暖地では年3回発生し、寒冷地では5~6月と8月の2回程発生します。
「症状」小枝や幹に白い小さなカイガラムシが発生し、樹液を吸うため、枝枯れを起こしたり、生育が悪くなります。
対策はこのスプレーです。
冬はマシン油のはたらきで成虫を窒息死させ、夏はアレスリンのはたらきでカラのない幼虫も駆除できる夏冬兼用タイプの優れもの。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0057SUCP8
2.コスカシバ:5月中~下旬と8月下旬~9月上旬の2回、成虫が発生します。
「症状」幹に乳白色の幼虫が入り、内部を食い荒らし、樹勢が衰え、枯れることもあります。食入部より虫の糞とともにヤニを吹き出していること
があります。
「対策」
【予防】
成虫が発生する5~10月に、成虫が交尾するのを妨げる薬剤の性フェロモン攪乱剤「スカシバコンを、成虫の発生する前に設置します。針金のような製品で、枝にまきつけます。
【駆除】
被害部から出る虫の糞やヤニを見つけたら、100均のゴムハンマーで叩いて幼虫をつぶすか、ナイフで樹皮を少し削り、幼虫を捕殺します。
その後は、トップジンMなどの殺菌剤を塗っておきましょう。
3.せん孔細菌病
名前の通り細菌性の病気です。
症状は葉に褐色のポツポツができ、最終的にポツポツの部分が抜け落ちて、葉に穴が開きます。
この病気は、葉以外の部分には感染しないようです。
「対策」
【予防】
有機無農薬栽培の証明の無農薬有機JAS認証でも使える、ICボルドー66Dという農薬をまく(40倍に薄める)。
【治療】
病気になった枝を取ってします。
有機無農薬栽培の証明の無農薬有機JAS認証でも使える、ICボルドー66Dという農薬をまく(40倍に薄める)。
土の水はけをよくし、よく根をはらせて勢い良く育てる。
4.灰星病(はいぼしびょう)
果実に袋がけすると、少し予防出来ます。
ICボルドー66Dの40倍で防ぎ、治療する事が出来ますが、病気の果実はすぐに取り除いてください。